誰が為のネットワークなのか

地球

Pete LinforthによるPixabayからの画像

注:本稿の初出は http://pocketstudio.jp/logbook/ であり、投稿データを記録用としてサルベージしたものを校正した。また、当時の私の考えや主張は、現在の私とは異なる場合があることを明記する。

 気が付いてみると、いつの間にか、ネットワークは商用主義真っ盛りだ。 今から3年前のインターネット普及期(もちろん、今も普及期ではあろうが)、まだ「誰でも」情報発信が出来る時代と言われていた。しかし実際はどうだったであろう。世界への情報発信といった華やかりしスローガンは、今どうなっているか。地方在住の視点でお伝えしたい。

 私は密かに『ねっ!とやま』(http://toyama.to)という富山県リンク集を去年から作成し、定期的に県内ページの動向をチェックしている。これは、従来のテレビや新聞に代表される「東京発」の情報に対し、富山という「地方発」の情報がどれだけ通用するかという観察を目的としていたのだ。

 だがしかし、リンク先の大部分のページは、ほとんどといって良いほど更新されていない。一度作ったきりで全く更新されていないページも目立つ。多くの企業ページが、単なる企業パンフレットと成り下がっているのだ。また、個人発の情報であっても、簡単な自己紹介の域を越えていないのが現状である

 おそらく企業や団体の多くが「別にインターネットなど宣伝媒体、または、情報伝達媒体としては訳に立たない」と結論に至ったのではないであろうか。なぜなら、ページを作ったとしても、それを宣伝する場がないからだ。ここに気づいた「旧メディア」である新聞・テレビは、自分たちの媒体を使い、積極的に宣伝を展開している。たとえば、テレビの広告枠でページを宣伝する方法がある。

 一方で、テレビに広告を打てないような一般企業はどうすべきであろうか。また、資金も無い一般の人はどうしればいいのだろう。まして、中学生、高校生は? とりあえず、ページを作ってみたは良いが、それを宣伝する媒体が無いのである。

 ここで一旦、インターネットの宣伝媒体を考えてみよう。現状では「サーチエンジン」(現在ではポータルサイトと称される Yahoo JapanやGooやInfoseek)に登録し、検索されるのを「待つ」しかない。あるいは、地道に「リンク」をはって貰うしかないであろう。ネット関連雑誌や、一般雑誌にURLが掲載され、それでヒットを呼ぶ・・という事も考えられるが、残念ながらネット「だけ」で宣伝するというのは難しい。

 結局、インターネットが登場しても従来のメディアに頼らざるを得ない。しかも、ネット上の情報でさえも、わざわざ東京発のYahooというリンク集から、「地域情報」→「富山」というジャンルを探さざるを得ないのである。本来、富山県の地域情報は「富山」を知っている人たちが作って行くべきだと思うのだが、いかがなものであろうか。

 このままでは地方による情報発信など馬鹿馬鹿しい状況に陥ってしまうのではないか。ネットワークを情報媒体にしようとしても、現状のメディアよりも効率が悪く、何かしようとしても非現実的とされるからだ。

 私はこの状況を危惧する。そして、ささやかではあるが、こんなネットの流れに一人抵抗を試みようと思う。地域から出る情報を主流にする事。これは、ネットワークの本当の意味での一般への普及には欠かせないと思うのだが。