慣れは怖い

 慣れ。仕事や学習における慣れとは、習熟・熟知を意味するところ。初めての頃は戸惑っていた作業なり考え方が、一つの型となり体に染みこむと、深く考えなくても求められることを遂行できるようになるのが慣れ。

 仕事や学習では、この慣れによる油断がよくないとされています。目の前のことに集中せず、他のコトを考えていても作業ができたりしますから。仕事に限らず、車の運転でも、慣れてきたら事故に遭いやすいという話も耳にします。

 コロナ渦により、テレワークをはじめとした、リモートを前提とした働き方については、当初いろいろな不慣れや混乱があったように思えます。私の場合は、オンラインでのミーティングやコミュニケーションの取り方が慣れないなぁと思っていましたけれども、ようやく現代的な仕事の仕方に慣れてきたような気がします。

 一方で、仕事以外の日常生活において、慣れとは何となく良くないこと、と思い始めています。コロナによって新しい生活習慣がもたらされたのだ、といよりは、強いられているんだ、というのが正直なところ。例えば外出時はマスクをする、家に帰れば手洗いうがいをするといった行為。

 そして気が付けば、実際に体を動かす、足を運ぶ行動範囲が自然と狭くなっているような気がします。見慣れた景色、見慣れた雑踏、見慣れたお店、慣れた体験。慣れてしまうと、何となく日々が過ぎていくような気がして、私は怖いのです。私が、まるで何も考えていないような。

 そんな不安にあらがうかのように、毎日新しいことを見つけようとしたり、外に出ては違う道を歩いたり、空を見上げては日々変わる雲を面白がってみたり、窓を開けては部屋の中の空気を入れ換える風を楽しんだり。慣れるなんて、いやだな、ちょっと怖いんだなと思いながら。

 慣れは怖いのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です